重要 : 本記事をお読みいただく前に
本記事では、Claude CodeやChatGPTなどの生成AIを活用し、生徒の情報を参照しながら校務を支援する仕組みについて紹介しています。
ただし、2026年8月現在、筆者が個人で契約しているClaude Code、ChatGPTその他の生成AIサービスに、氏名、成績、指導記録など、生徒を特定できる情報を入力することはできません。
ChatGPTやClaudeのWeb版についても、個人アカウントで利用している場合は同様です。
これは、文部科学省の「教育情報セキュリティポリシーに関するガイドライン」や、学校・教育委員会が定める情報セキュリティポリシーにおいて、生徒情報を私的に契約した外部サービスで取り扱うことが認められていないためです。
そのため、本記事で紹介している内容は、筆者が現在、生徒情報を実際にClaude CodeやChatGPTへ入力して運用している事例ではありません。将来、学校または教育委員会が生成AIサービスを正式に導入し、必要なセキュリティ対策と利用ルールが整備された場合に、どのような校務活用が可能になるかを検討した構想です。
現時点では、教育委員会が管理するGoogle Workspace for Educationの環境が、生徒情報を扱うための最も現実的な選択肢です。
Google以外では、学校や教育委員会が組織として正式に契約することを前提に、次のサービスも将来的な候補になり得ます。
- ChatGPT Enterprise
- Claude Enterprise
ただし、これらのサービスも、契約するだけで生徒情報を入力できるわけではありません。多要素認証、アクセス制御、入力情報をAIの学習に使用しない契約、データの保存・削除、利用記録、教育委員会による審査と承認など、複数の条件を満たす必要があります。
本記事は、現在認められていない方法を推奨するものではありません。将来、学校現場で安全に生成AIを利用できる環境が整った場合に備え、その可能性と仕組みを整理したものです。
実際に生徒情報を取り扱う際は、必ず所属する教育委員会および学校の情報セキュリティポリシーを確認し、管理職や情報セキュリティ担当者の指示に従ってください。
なお、文科省のセキュリティーポリシーに関する記事も用意しています。こちら「生成AIに生徒情報はどこまで入力できる?文科省ガイドラインで検証した「重要性分類Ⅱ」の条件」をご覧ください。

では、記事をお読みください。
「生成AIで作った文書が、自校の書式に合わず管理職のチェックで差し戻される・・・」
伝さん実は私も同じでした。
ネット上にある立派な例文をそのまま使っても、自分の学校では一向に通用しない——そんな現実に何度もぶつかってきました。
これは、学校独自の文書には、長年その学校が培ってきた「目標の書き方」や「支援の表現」が、暗黙のルールとして存在するからです。
この記事では、ネット上には決して存在しない「学校独自の書式」を、生成AIに学習させて再現させるための原理と手順を整理します。
具体的には、校内で評価の高い先生の文章を「型」に変える、誰でも再現できる5ステップを紹介します。
特別支援学校で生徒一人ひとりの個別の指導計画(目標と支援の手立て)を作成してきた現役教員が、現場での実践をもとに解説していきます。
最後まで読んで、明日から一発で承認される文書づくりを始めましょう。
この記事を読めば、ネットに転がっていない「自校だけの書式」を生成AIに再現させる仕組みがわかり、管理職のチェックを一発で通す文書を量産できるようになります。
この記事では、次の流れで解説します。
- なぜ生成AIで学校独自の文書はうまく作れないのか
- 学校独自の文書を生成AIに作らせる基本戦略
- 【実践】生成AIで学校独自の文書を作る5ステップ
それでは、順番に説明していきましょう。
なぜ生成AIで学校独自の文書はうまく作れないのか


私たち教員が生成AIを活用する場面で最も多いのは、校務で使う文書の作成ではないでしょうか。
そして、いざ使ってみると「思ったような文章にならない」と感じた方も多いはずです。
その原因は、AIの性能ではなく「学校独自の書式」という壁にあります。
この章では、つまずきの正体を次の2点に分けて見ていきましょう。
- 学校独自の「お作法」がネットに存在しない理由
- 3観点の語尾ひとつで差し戻される厳格さ
順番に見ていきましょう。
学校独自の「お作法」がネットに存在しない理由
結論から言えば、自校の書式に完全一致する例文は、インターネット上のどこにも存在しません。
なぜなら、その学校が長年培ってきた「目標の書き方」や「支援の表現」が、暗黙のルールとして存在するからです。
基本的には学習指導要領に則ってはいますが、それをそのまま再現している学校はほとんどありません。
特に特別支援学校では「個別の指導計画」があるため、生徒の実態に合わせた独自の目標と手立てを構築する必要があります。
学習指導要領の目標は、あくまでも「最大公約数」的な指標に過ぎません。
一人ひとりの目標を導き出すには、その指標をさらに細かく因数分解し、具体性を持たせなければならないのです。



「ネットで調べた例文を貼り付けても、なぜか自校では浮いてしまう」——この感覚、現場の先生なら一度は味わっているはずです。
つまり、汎用の生成AIに文書作成を丸投げしても、自校仕様にはならない。これが第一の壁です。
3観点の語尾ひとつで差し戻される厳格さ
第二の壁は、目標の書き方そのものが学校によって厳格に決められていることです。
例えば目標の書き方で言えば、基本となるのは「3観点」への分類で、観点ごとに特有の語尾や言い回しが求められます。
私の勤務校では「知識・技能」の目標であれば、「〜ができる」「〜を理解する」「〜の技能を身に付ける」といった表現が必要です。
この言い回しを間違えると、「これは『知識・技能』ではなく『思考・判断・表現』の内容だ」と、管理職のチェックで修正を求められることもあります。



語尾を直されるだけで差し戻しって、けっこうきついですね……。



そうなんです。だからこそ、こうした多様な条件を一発でクリアして承認を得られる文章を生成AIに書かせるのは、実はかなりの難題なんですよ。
こうした「学校独自の書き方」に関する情報は、当然ながらインターネット上には存在しません。
だからこそ、次の章で紹介する「発想の転換」が必要になります。
学校独自の文書を生成AIに作らせる基本戦略


ネットにない情報は、AIに「与える」しかありません。
鍵は、校内に眠っている一次情報を教材化することです。
この章では、その基本戦略を次の2点に分けて見ていきましょう。
- 評価の高い先生の文章を集めるのが最短ルート
- 自分の良文より「承認実績のある文章」が効く理由
順番に見ていきましょう。
評価の高い先生の文章を集めるのが最短ルート
結論から言えば、学校内で評価の高い先生が書いた文章をたくさん集めることが一番の近道です。
なぜなら、その文章の中にこそ、自校の暗黙のルールが具現化されているからです。
どの学校にも、すぐに主任や管理職のチェックをパスする「優れた文章」を書く先生がいるはずです。
具体的には、各教科から幅広く例文を集めます。
可能であれば、その先生に作成時のコツや意識しているポイントを直接聞き取っておくのも有効です。



「あの先生の書類はいつも一発で通る」——その秘密こそ、AIに学ばせるべき最高の教材なんです。
校内の「お眼鏡にかなう文章」こそ、最良の学習データになります。
自分の良文より「承認実績のある文章」が効く理由
自分の過去の良文を使ってももちろん構いませんが、客観的な評価を得ている文章を学習させた方が、より質の高いアウトプットが得られます。
なぜなら、個人の癖ではなく、組織が認めた基準をAIに移植できるからです。
複数の先生の文章を混ぜて学習させると、自校の「平均的な正解」が抽出されていきます。
一人の癖に偏らない、誰が見ても納得する文章の核が浮かび上がってくるのです。
集める文章の質が、そのままアウトプットの質を決めます。だからこそ、素材集めには手を抜かないことが大切です。
【実践】生成AIで学校独自の文書を作る5ステップ


ここからは、実際に「生徒の目標」を作成する作業を例に、具体的な手順を見ていきましょう。
今回は「知識・技能」の目標を題材に進めます。
この章で解説するのは、次の5ステップです。
- ステップ1:評価の高い先生の例文を幅広く集める
- ステップ2:生成AIに前提を伝え文章の癖を解析させる
- ステップ3:解析をもとに再現用マニュアルを作らせる
- ステップ4:例文を書いた先生にマニュアルを確認してもらう
- ステップ5:完成した型をカスタムGPTのナレッジに保存する
順番に見ていきましょう。
ステップ1:評価の高い先生の例文を幅広く集める
まず、優秀な先生が書いた過去の目標例文を、各教科から幅広く集めます。
なぜなら、サンプルが多いほど、AIは自校の「型」を正確に抽出できるからです。
可能であれば、その先生に作成時のコツを直接聞き取っておくと、後のマニュアルの精度が格段に上がります。
質の高い素材集めが、この5ステップ全体の土台になります。
ステップ2:生成AIに前提を伝え文章の癖を解析させる
文章が集まったら、生成AIに「構造・語尾・考え方の癖」を解析させます。
そのとき、誰のための・何の文書なのかという前提を伝えるほど、解析の精度が上がります。
具体的には、ChatGPTに次のように依頼します。
これは特別支援学校の高等部で設定されている目標の例文です。
これらの文章の構造、語尾、考え方の癖を理解し、
他の生徒でも同様の質の文章が作成できるように解析してください。
この段階の目的は、AIに「型の言語化」をさせることです。
ステップ3:解析をもとに再現用マニュアルを作らせる
解析が終わったら、その結果をもとに「誰でも同じ質で書けるマニュアル」を生成させます。
マニュアル化することで、属人的だったノウハウが再現可能になるからです。
具体的には、次のプロンプトを投げます。
この解析に基づき、誰でも同じクオリティで「知識・技能」の目標が
書けるようなマニュアルを作成してください。



このマニュアル自体が、実は先生にとってもすごく勉強になるんです。ベテランの暗黙知が、目に見える言葉になって整理されますからね。
暗黙知を明文化した「型」が、ここで完成します。
ステップ4:例文を書いた先生にマニュアルを確認してもらう
生成したマニュアルは、例文を提供してくれた先生に内容を確認してもらいます。
なぜなら、現場のプロの目を通すことで、精度の高い「型」に仕上がるからです。
具体的には、表現のズレや観点の誤解をこの段階で修正します。AIが抽出しきれなかった微妙なニュアンスを、人の手で補正するイメージです。
人とAIの協働によって、信頼できるマニュアルが完成します。
ステップ5:完成した型をカスタムGPTのナレッジに保存する
最後に、完成したマニュアルをGPT(カスタムGPT)の「ナレッジ」として保存します。
次からは「この知識を利用して目標を書いて」と指示するだけで済むからです。
同様の手順を「思考・判断・表現」「主体的に学習に取り組む態度」の2観点でも行えば、3観点すべての目標設定マニュアルが揃います。これらをまとめてナレッジ化すれば完成です。



一度この仕組みを作ってしまえば、もう毎回ゼロから悩む必要はありません。自校専用の「文書生成エンジン」が手に入るんです。
一度作れば、自校仕様の文書を量産できる環境が整います。
まとめ|生成AIで学校独自の文書を自校仕様に仕上げる


まず取り組むべきなのは、校内で評価の高い先生の文章を集めることです。
生成AIの性能をどれだけ語っても、自校の書式という壁は越えられません。
なぜなら、自校の暗黙のルールは、ネット上ではなく、その文章の中にこそ宿っているからです。
まずは身近な「いつも一発で通る書類」を書く先生に声をかけ、過去の例文を分けてもらうところから始めましょう。
もう一つ大切なのは、集めた文章を生成AIに解析させ、マニュアルとして言語化させることです。
なぜなら、暗黙知を明文化することで初めて、誰でも再現できる「型」に変わるからです。
集める文章の質が、そのままアウトプットの質を決めます。
文書づくりに悩む前に、まず自校の「正解」を集めて型に変えること。
そのうえでカスタムGPTのナレッジに保存すれば、毎回ゼロから書き直す手間も、語尾の違いで差し戻される心配もありません。
生成AIは、ネットに存在しない「学校独自の文書」さえも、あなたの校務を確実に支えるツールになるのです。
なお、今回は「書式の型」の作り方を解説しましたが、実際に目標を作るには「誰の・何の教科の・どの授業か」という生徒の実態の入力が欠かせません。
その具体的な方法は、次回の記事で紹介します。
あわせて当ブログの他の校務AI活用記事もぜひのぞいてみてください。


よくある質問(FAQ)
- 集める例文は何件くらい必要ですか?
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明確な決まりはありませんが、各教科から幅広く集めるほど精度が上がります。まずは1観点あたり10件前後を目安にし、解析結果を見ながら追加すると無理なく進められます。
- 個人情報を含む文書をそのままAIに入力して大丈夫ですか?
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生徒名や個人が特定できる情報は削除・匿名化してから入力してください。学習させたいのは「書き方の型」であり、個人情報は不要です。自治体や学校のAI利用ルールも必ず確認しましょう。
- ChatGPT以外の生成AIでも同じ方法は使えますか?
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使えます。GeminiやClaudeなどでも「解析→マニュアル化」の流れは同じです。ただしナレッジを保存して再利用する機能は各サービスで仕様が異なるため、お使いのツールの仕様を確認してください。
- 管理職にAI利用を知られず使っても問題ありませんか?
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校務での生成AI利用は、自治体や学校の方針に従うのが前提です。文書の質を高める使い方であっても、まずは利用ルールを確認し、必要に応じて事前に共有しておくと安心して活用できます。







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